成覚寺(旧浄眼院殿霊屋門)概要: 十劫山大乗院成覚寺は仙台市若林区新寺3丁目に境内を構えている浄土宗の寺院です。成覚寺の創建は分かりませんが、室町時代後期の大永年中(1521〜1527年)に現在の福島県伊達郡から米沢立山へ境内を移したという記録がある事からそれ以前から続いている古寺だと思われます。
当時の伊達家の当主である伊達晴宗は天正年間(1532〜1555年)に本城を西山城(福島県伊達郡桑折町)から米沢城(山形県米沢市)移している事から、それに伴う異動とも考えられます。
その後、伊達家から庇護を受け、天正19年(1591)豊臣秀吉による奥州仕置きにより伊達政宗の移封先である岩出山城(大崎市岩出山)へも随行しています。
江戸時代に入り政宗が仙台城を築城し本城を仙台に移し開府すると成覚寺も現在地へ境内を遷し、修業道場学問所を開くなど隆盛したそうです。
成覚寺の寺宝に清海曼荼羅は室町時代に制作され、檀王法林寺(京都府京都市左京区川端三条上)袋中和尚の檀家から寄進されたもので、全国的に見ても室町時代に制作された清海曼荼羅は2点しかない貴重なもので、名称「清海曼荼羅図 附 浄土清海曼荼羅略記袋中著」として昭和49年(1974)に宮城県指定有形文化財(絵画)に指定されています。
木造聖観音像(木造聖観世音菩薩立像)は平安時代に行基菩薩が彫刻したと伝わるもので、桧材、像高165cm、当初は南禅寺(静岡県賀茂郡河津町谷津)に安置していましたが、高屋弥七によって成覚寺に奉納された貴重な仏像で、昭和49年(1974)に宮城県指定有形文化財(彫刻)に指定されています。特に木造聖観世音菩薩立像は仙台三十三札所第十六番として周囲の人達からも信仰の対象となっています。
成覚寺山門は仙台藩四代藩主伊達綱村の生母三沢初子の霊屋門として貞享4年(1687)に孝勝寺に建立されたもので、正面前後に唐破風がある向唐門、一間一戸、銅板葺、元々は総黒漆塗りだったとされ、正面の桟唐戸の鳳凰や扉の鏡板などに細かい彫刻が施されています。成覚寺山門は江戸時代初期の霊廟門の遺構として貴重な事から昭和61年(1986)に仙台市指定有形文化財(建造物)に指定されています。
仙台三十三観音霊場第十六番札所(札所本尊:聖観音・御詠歌:覚り成る心はむかしの十の月 みちくる月のあけがたの空)。山号:十劫山。院号:大乗院。寺号:成覚寺。宗派:浄土宗。本尊:阿弥陀如来(江戸時代初期作の阿弥陀如来立像を中心とした阿弥陀三尊像)。
成覚寺:上空画像
【 参考:文献等 】
・ ふるさとの文化遺産-郷土資料辞典4[宮城県]-株式会社人文社
・ 現地案内板-仙台市教育委員会
・ 現地案内板(沿革)-十劫山成覚寺
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