秋保大滝不動尊(西光寺)概要: 西光寺は宮城県仙台市太白区 秋保町馬場字大滝に境内を構える真言宗智山派の寺院です。秋保不動尊の縁起は平安時代初期に慈覚大師円仁(平安時代の高僧、第3代天台座主、入唐八家)が、現在の秋保温泉の温泉街にある磊々峡を霊地としてそれを望む高台(現在の塩滝不動尊)に大寺院を造営しようとしましたが、当地の領主がそれを拒否した為、山寺立石寺(山形県山形市)を開山しました。その後、円仁が当地を巡錫で訪れ秋保大滝を眺めたとき、比例なき霊地と定め、1体の不動明王を安置し山寺の奥の院とした事が始まりだとされます。
現在の西光寺御堂(不動堂)は江戸時代後期の文政8年(1825)に知足上人が再興したもので、木造平屋建て、三間四方(桁行3間、張間3間)、宝形造、銅板葺、向拝(一間)の建物です。江戸末期の社寺建築に見られる、複雑で繊細な彫刻が所狭しと見られ、内部の格天井には様々な絵が描かれ貴重な御堂建築の遺構である事から、名称「大滝不動堂」として平成7年(1995)に仙台市登録有形文化財(建造物)に登録されています。
知足上人は龍宝寺(宮城県仙台市青葉区八幡:大崎八幡宮の別当寺院)で得度し、大岩山日石寺(富山県中新川郡上市町:真言密宗大本山)と羽黒山荒沢寺(山形県鶴岡市:羽黒山修験本宗本山)で厳しい修行を行った名僧で、当地で遷化された後に開山堂(知足堂)で祭られています(知足上人は本尊である金銅不動明王が完成した文政11年:1828年9月5日に多くの民の大願成就を祈願して秋保大滝に身を投げ、44歳で遷化したと伝えられています)。
西光寺本尊である不動明王(大滝不動明王坐像)は伊達家の鋳物師津田甚四郎の作と言われ、像高3.3m、面部1.2m、胴廻り5.1m、総重量4千貫あり金銅不動明王としては日本一大きいと言います(仙台城下の庶民の多くが金銀の指輪や簪を奉納し、それを一旦溶かして鋳型に流したとされます)。参道正面には石鳥居が残されているなど神仏習合時代の名残が見られます。
東北三十六不動尊霊場第29番札所(札所本尊:不動明王・御詠歌:南無不動 功徳は世々にあらわれて みちびきたまえ 秋保大滝)。宗派:真言宗智山派。本尊:不動明王。
秋保大滝不動尊:上空画像
【 参考:文献等 】
・ ふるさとの文化遺産-郷土資料辞典4[宮城県]-株式会社人文社
・ 現地案内板(縁起)-秋保大滝不動尊(西光寺)
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