熊野那智神社(名取市)概要: 熊野那智神社は宮城県名取市高舘吉田字舘山 に鎮座している神社です。熊野那智神社の創建は奈良時代の養老3年(719)に閖上に住む漁師が海底から神体を見つけ、高舘山頂に羽黒大権現として祭った事が始まりとされます。その後、名取に住んでいた老女が紀伊国の熊野三社(熊野本宮大社:和歌山県田辺市本宮町本宮・熊野速玉大社:和歌山県新宮市新宮・熊野那智大社:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智)から分霊を勧請し、その内の那智社の分霊をこの地で祀る事となり羽黒大権現と合祀しました(その他は熊野本宮社、熊野神社新宮社として創建されています)。
社号は熊野那智神社と合祀された方の名称になりましたが、例祭は閖上浜まで御神体を乗せ神輿渡御を行うという神社創建にちなんだもので(現在は諸事情により行われていない)興味深い所です。中世以降は伊達家の崇敬により社領の寄進や社殿の造営など行われてきました。
古くから神仏習合し、別当寺院として那智山紹樂寺が祭祀を司ってきましたが明治時代初頭に発令された神仏分離令により紹樂寺とは分離し、社内の仏教色が排除され、社号を「熊野那智神社」に改称し村社に列しています(仏教色が濃い懸仏と銅鏡が社殿床土中に埋められたと思われます)。
熊野那智神社境内には神社山門である長床や鐘付堂などがあり神仏混合の名残が強く、 多くの石碑は当時の熊野信仰の篤さを窺うことが出来ます。社宝には明治31年(1898)に社殿を改築した際見つかった懸仏と銅鏡がありその内、41点(懸仏:37面・銅鏡:4面)、国指定重要美術工芸品、114点(懸仏・銅鏡)が宮城県指定重要美術工芸品に指定されています。熊野那智神社拝殿は木造平屋建て、寄棟、平入、桁行5間、梁間2間、外壁は真壁造素木板張。本殿は一間社、春日造、銅板葺。長床(神門)は切妻、鉄板葺、五間一戸、桁行5間、梁間1間、上層部は舞殿又は神楽殿だったようで現在は眺望台となっています。鐘楼は入母屋、鉄板葺き、外壁は柱のみの吹き放し。祭神:羽黒飛龍神、伊弉冉尊。相殿:黄泉事解男命、国常立尊、伊弉諾尊、天照皇大神。
熊野那智神社:上空画像
|