日吉山王神社(松島町)概要: 日吉山王神社は宮城県宮城郡松島町松島字町内に鎮座している神社で、案内板によると「天長5年(828)慈覚大師が延福寺創建のときその護神として近江坂本(現滋賀県)の山王社の分霊を勧請し天竜安(五大堂向いの小高い丘)のほとりに祀ってあったものを寛永17年(1639)時の瑞巌寺住職雲居禅師によって現在の地に祀られたが寛永8年(1711)とその後数回にわたり修復が行われた。社殿は江戸中期の秀作とされ昭和43年春本殿拝殿が修理された。主祭神は大山咋神、相殿に国常立神、日仲彦神、伊弉神を祀っている。祭日は4月20日」とあります。
日吉山王神社は平安時代初期の天長5年(828)、慈覚大師円仁が延福寺(瑞巌寺の前身)を開山した際、鎮守社として日吉大社(滋賀県大津市坂本)の分霊を勧請したのが始まりとされます。
日吉大社は天台宗の総本山である比叡山延暦寺の守護神で、円仁は第3代天台座主である事からも、延福寺は天台宗の寺院だった事が判ります。延福寺はその後、臨済宗建長寺派円福寺、臨済宗妙心寺派瑞巌寺と宗派、寺号を変えましたが、日吉山王神社は鎮守社として奉斎され続けたようです。
このように創建以来神仏習合の形態を取り付けましたが、明治時代初頭に発令された神仏分離令により形式上は瑞巌寺とは分離し現在の社号に改め、大正元年(1912)に周辺の神社を合祀、昭和5年(1930)に村社に列し、神饌幣帛料供進神社に指定されています。
現在の日吉山王神社本殿は江戸時代中期に造営されたもので、三間社流造、銅板葺き、外壁は真壁造り素木板張り、社殿の規模として大型とは言えませんが歴史的背景や建築技術の高いなどの評価を受け昭和46年(1971)に宮城県指定有形文化財に指定されています。
日吉山王神社は多少入り組んだ所に鎮座しているので観光客には解り難いかも知れません。普段は人気も少なくひっそりと佇んでいます。
日吉山王神社:上空画像
【 参考:文献等 】
・ ふるさとの文化遺産-郷土資料辞典4[宮城県]-株式会社人文社
・ 現地案内板
|
|